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肩こり・頭痛

肩こり頭痛がひどいのに異常なし?心の問題ですか?

検査で異常がなければ心療内科?

頭痛や肩こりが長引き、病院で精密検査を受けたものの「異常なし」と診断されると、心療内科を紹介されるケースがあります。

現代医療では、検査で器質的な異常が見つからない場合、「心の問題」として扱われることが多くなっています。
しかし、その間にもっと別の視点から対処できる方法はないのでしょうか。

西洋医学は、非常に優れた分析力を持っていますが、問題を細かく分類して捉える傾向があります。
つまり、「身体」に異常がなければ、次は「心」へ──というように、問題を分けて考えるのです。

もちろん、それぞれの専門分野で解決できる場合もありますが、逆に分けてしまうことで、本質が見えにくくなることもあります。


柔らか整体の視点:身体と心をひとつの「現象」として見る

柔らか整体では、「身体(機能的な異常)」と「心」を、その人に現れたひとつの現象として捉えます。

特に姿勢や瞬間ごとの動作は、意識・無意識を問わず、その人の現在の状態を**“態度”として表現したもの**と考えています。

つまり、その一瞬の姿勢や動きに目を向け、その背景にある意図を丁寧に読み解いていくことで、
それが身体の機能的な問題なのか、心の影響によるものなのかが見えてくるのです。

このように、「身体」と「心」を別々に捉えるのではなく、その人に起こっている一つの現象として姿勢や動作から推察していくことで、
身体と心は同じものを表現していることがわかります。


姿勢や動作が変わることで、心身に変化が起こる

身体と心を「ひとつのもの」として見ると、姿勢や動作は非常に有効な情報源になります。
そして、その情報が書き換えられたとき、つまり姿勢や動作が変化したとき、症状が自然と解消に向かうきっかけとなる可能性があるのです。

柔らか整体は、そうした**“今ここに現れている身体”に丁寧に向き合うアプローチ**を大切にしています。


身体に影響を及ぼす精神的ストレスのかたち

精神的なストレスを自覚している人はもちろん、自覚はなくても潜在的にストレスを抱えている人も、頭痛と深い関係があることが知られています。

ただし、「精神的ストレス=頭痛」という直接的な因果関係ではなく、その間には身体的な変化が介在します。

上図にもあるように、気分は姿勢に反映されることが多く、
たとえば、人は悲しいときに下を向き、嬉しいときには上を向く傾向があります。

こうした姿勢が一時的なものであれば問題はありませんが、どちらの状態でも長時間続くことで身体に負担がかかります。
これが姿勢の崩れ(身体的ストレス)を引き起こし、結果として血行不良や神経の圧迫などを招くこともあるのです。

つまり、精神的なストレスがそのまま頭痛を引き起こすのではなく、ストレスによる姿勢の変化が、肩こりや首こり、血流障害などを通して頭痛を誘発することがある、というわけです。

一方で、精神的ストレスによる姿勢や身体の反応が変化すれば、頭痛などの症状が和らぐ可能性もあります。


精神的ストレスとは何か?

では、「精神的ストレスがある状態」とは、どのようなものなのでしょうか?

ストレスとは、外界からの刺激すべてが対象になります。
ただし、そのすべてが悪いものというわけではありません。

ストレスには、「良いストレス(eustress)」と「悪いストレス(distress)」があり、
その違いは、その刺激が“快”か“不快”か、という個人の主観によって分けられます。

問題なのは、「不快」と感じる刺激が続いたときです。
そのようなとき、人は精神的に悩むだけでなく、身体も知らず知らずのうちに“悩んだ形(スタイル)”になってしまうことがあります。


このように、精神と身体は密接に連動しています。
心の状態が身体に表れ、身体の状態が心にも影響するという視点からアプローチすることで、
根本的な不調の改善に繋がる可能性が広がります。

カラダとココロを一元的に捉える東洋医学

東洋医学において「悩み」は、「気を病む」と表現されます。これは、「陰の気」が優勢な状態ともいえるでしょう。

東洋医学では、「気」は陰の気陽の気に分類され、このバランスが崩れることで「病(やまい)」が生じると考えられています。


陰と陽のバランスと身体の変化

陰の気は体の前面(お腹側)、陽の気は**体の背面(背中側)**を主に支配しています。

陰の気が強まると、お腹側の働きが過剰になり、腹部の筋肉が過緊張を起こします。
この結果、陰陽のバランスが崩れ、身体が陰の方向(前方)に引き寄せられたような姿勢になり、お腹を丸めたような姿勢になるのです。


感情と姿勢の関係

東洋医学では、精神的な作用を以下の五つの感情に分類します:

  • 怒(いかり)
  • 喜(よろこび)
  • 思(おもい)
  • 悲・憂(かなしみ・うれい)
  • 恐・驚(おそれ・おどろき)

これらの感情は、それぞれ特有の姿勢や動作として、無意識のうちに表出します。

たとえば、陰の気が強まった状態では、胸やお腹を縮めるような姿勢になりやすく、
その影響で背中が丸まり、肩がうなだれ、自然と頭が前に突き出た姿勢になります。


姿勢が引き起こす身体的ストレスと頭痛

本来、頭は体の真上に乗っていれば、首や肩の筋肉で支える必要はほとんどありません。
しかし、頭の位置が前方にずれると、首や肩の筋肉が常に緊張して頭を支えることになり、負担が大きくなります。

その結果、首や肩の筋肉が過緊張して硬くなり、いわゆる肩こりが生じます。
さらに、その筋肉の下を通る血管や神経が圧迫され、脳への血流や神経伝達が滞ることで、頭痛が引き起こされるのです。


このように、東洋医学では、心と体を切り離すことなく一体として捉えることで、
不調の本質を見極め、根本的な改善へと導くことを目指します。

身体に影響するストレスの対処法

ストレスによる不調を解消する最もシンプルな方法は、不快なストレスそのものを取り除くことです。
しかし、現実にはそう簡単にストレスの原因から逃れることはできません。

それならばいっそのこと、ストレスに向き合った姿勢をとってみてはどうでしょうか。


ストレスと身体の関係

前述の通り、ストレスを感じているとき、身体はそれに応じた反応や姿勢を取ります
その反応を無理に否定せず、ストレスを受けた状態のままで過ごしてみるという選択肢もあるのです。

ストレスは、「体のゆがみ」と言い換えることができます。
ただし、単に体が曲がっているだけではストレスとはなりません
ゆがみによって一部に「過剰な力」が発生し、それが身体的なストレスとなって現れます。


「頑張り続ける姿勢」がつくるギャップ

日本人は、特に社会通念や「こうあるべき」といった価値観を重視する傾向があります。
そのため、ストレスで崩れた姿勢は格好が悪いから直さなければならない、あるいはストレスがないふりをしなければならないと、無意識に振る舞ってしまう人も少なくありません。

しかし、「頑張る」という行為そのものが問題となることがあります。
「頑張る」は「我(が)を張る」とも言われ、自分の実力以上の力を出そうとしたり、見栄を張ったりすることで、心身に大きな負担をかけてしまうのです。

たとえば、内側ではストレスにより体が丸まろうとしているにもかかわらず、外側では無理に背筋を伸ばし「普通」を装おうとする
このように身体の内側と外側にズレ(ギャップ)が生まれると、
そのズレが「過剰な力」となって、体の一部にストレスが集中します。


姿勢の「ギャップ」がもたらすストレス

ストレスを受けた身体は、さまざまな姿勢としてその影響を表します。
特に多いのが、背中を丸めた“ねこ背”の姿勢です。

このまま自然に背中を丸めていれば、身体にはあまり無理がかかりません(つまり「楽」です)。
しかし、社会的な価値観や「良い姿勢」への意識が働くと、本来の状態に逆らって無理に体を伸ばしてしまうことがあります(これは「つらい」です)。

身体の内側は丸まりたがっているのに、意識的に外側を真っ直ぐに保とうとすると、
内と外のギャップが大きなエネルギーとなり、それが不調や症状を引き起こす要因となるのです。

このエネルギーに比べれば、崩れた姿勢自体によるストレスなど、たいした問題ではないとも言えるでしょう。

もちろん、崩れた姿勢を続けることが良いとは言いません。
しかし、「今」の身体の状態を考慮すれば、どちらを優先すべきかが見えてくるはずです。


「今」の状態に応じた姿勢選びを

優先すべき姿勢は、「今、症状があるかどうか」で判断します。

  • 「今」症状があるなら、内側の状態(自然な姿勢)に従い、そのままの姿勢でいること
  • 「今」症状がないなら、心地よい「快」のストレスを増やすことを意識してみてください。

「快」のストレスを意識的に増やすことで、身体は自然と**「陽」の方向(前向きで軽やかな状態)**へとシフトしていきます。


柔らか整体のすすめ

精神的ストレスとは別に、身体の内側の“低下した順応性”を高めることも重要です。
柔らか整体では、体の内側と外側のギャップを埋めるアプローチを行います。
このアプローチが加わることで、より大きな効果と変化が期待できるのではないでしょうか。


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