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自律神経失調症

疲れが取れないのは、緊張が取れないから

緊張を取る柔らか整体のベースとなる古流柔術は、現代柔道のように「力を入れて相手を崩す」のではなく、「力を抜いて相手を崩す」という技術です。緊張を相手に伝えずに行う技術が基本にあり、この術理に従って身体を捌くことで、余計な緊張を引き起こさずに変化を導く動きを生み出します。また、マッサージは交感神経優位になる傾向が強いですが、指圧は副交感神経優位の要素を含んでいます。そのため、柔らか整体では指圧の要素を整体の手技に取り入れ、副交感神経優位な状態を作り出し、その状態で身体の修正を行います。

1疲れの原因

人は肉体活動や精神活動を行うと体内で疲れの原因となる物質が生産され、それらが過剰に発生すると細胞がサビ付き、それにより疲労感が発生します。

最近では、疲労の原因物質とされる「ファティーグ・ファクター」(F・F)が、疲労を感じる原因となるタンパク質の一種であるといわれるようになりました。
肉体的な運動や精神的なストレスによって酸素が過剰に消費されると、活性酸素が産生されます。
活性酸素は、弱った体を守るために免疫力を高める役割を果たしますが、同時に毒性が強く、体内の細胞を酸化させることで老化やさまざまな病気を引き起こす原因にもなってしまいます。

この活性酸素が産生されると、F・Fが発生し、脳内へ疲労の信号を送ります。
それにより、筋肉組織などの細胞の働きが低下し、疲労感が高まります。

また、F・Fの発生に伴い、疲労の信号が送られると、同時に疲労から回復するための「ファティーグ・リカバリー・ファクター」(F・R)が作られ、傷ついた組織の細胞を修復したり、
体が疲労から回復する働きを促進する作用も起こります。

2疲労(F・F)と回復(F・R)のバランス

疲れが取れない、それとも疲れが解消する分岐点 はF・FとF・Rのバランス次第です。

F・Fが発生して疲労を引き起こすと、同時にその疲労を回復するためのF・Rが作られ、傷ついた細胞を修復したり、体が疲労から回復する働きを促進させる作用が生じます。
F・Fに対してF・Rの働きが上回れば、疲労は低く抑えられます。
しかし、F・Rの働きがF・Fに対して下回れば、疲労は高まります。
では、F・Fに対してF・Rの働きを上回らせるためには、どうすればよいのでしょうか。

3回復(F・R)が上回るためには

F・Fに対してF・Rが上回われば、疲労は低く抑えられ、回復が上回り疲労が解消されます。

そのためには、副交感神経優位になることが望まれます。

F・Rが増えるためには、自律神経における副交感神経が優位になることが必要です。
副交感神経が優位になる条件としては、リラックスしている時や睡眠時などが知られています。
逆に、交感神経が優位になると、ストレスの多い状況や緊急事態に際して体の状態を整える働きが強まります。

そのため交感神経は、心拍数を増やし心臓の収縮力を高め、呼吸をしやすくするために気道を広げ、蓄えられたエネルギーを体から放出して筋肉に大きな力を入れられるようにします。
以上から、F・Rを増やすためには、睡眠やリラックスによって副交感神経優位の状態を維持することが重要です。

4副交感神経優位になるには

副交感神経は、睡眠時やゆったり過ごしている時に優位になります。

但し寝ていても、ゆったりしようとしても体が緊張していれば、そうであるとは限りません。

女性、特に40歳代以降になると更年期に入り、自律神経のコントロールが乱れやすくなります。(20代でも起こりうることです)
突然汗が噴き出したり(ホットフラッシュ)、動悸がしたり、気分が落ち込んだりと、自分の意識ではコントロールできないことが起こります。
疲れやすい人は交感神経優位の状態にあり、常に緊急事態に対応できるよう緊張状態(過緊張)を維持しています。
自律神経は自覚しにくいため、「ピン」とこないかもしれませんが、意識していなくても体が緊張している場合(過緊張)があります。
副交感神経優位になるためには、まず体の緊張を取り除くことが先決です。

5緊張の原因

緊張の原因のほとんどはストレスといってよいでしょう。

このストレスは、力学的側面と精神的側面に分けることができます。
力学的側面とは、体が重力などの物理的なストレスによる負荷を受けることを指します。
精神的側面とは、仕事、家庭環境、人間関係などによる心理的なストレスによる負荷を指します。

精神的ストレスについては心当たりがある場合もありますが、力学的ストレスは自覚することがあまりありません。
中には、姿勢が良くないと自覚していても、それがストレスの原因だとは結びつかないことが多いようです。

姿勢が崩れることで、身体は立て直そうと無意識に頑張ります。この頑張りが、疲れや過緊張の原因にもなります。

6緊張の種類

ヒトは緊張すれば必ず筋肉が反応し、自己防衛のための身体作業(過緊張)が起こります。

肉体的緊張

姿勢の乱れや崩れは自律神経が自動的に補正し、本人も気付かないうちに調整されています。この調整作業に多大なエネルギーを費やすことで、疲れが生じます。

精神的緊張

ストレスによる緊張は、自律神経の交感神経を過剰に興奮させ、脳内で活性酸素を過剰に生産し、脳内の疲労感を高めます。同時に、脳内の興奮が神経線維に伝わり、間接的に筋肉を緊張させることが知られています。

いずれの場合においても、ストレスによって引き起こされた生体反応に着目すると、必ず筋肉が過緊張状態であると言えます。

7緊張とストレス

緊張とストレスどちらが先か?

心理学的感情理論に「ジェームス=ランゲ説」があります。
この説は「悲しいから泣く」のではなく、「泣くから悲しい」というもので、泣くという身体の反応があってから悲しいという感情が湧く(身体反応→感情)という考え方です。
ストレスがあれば緊張が伴うという考え方もできますが、逆に緊張するからストレスを感じることもあるかもしれません。
緊張しやすい人は、ストレスを引きずってしまい、慢性的に過緊張状態が続いている場合があるのではないでしょうか。

8疲れたときに現れやすい症状

つらい症状で検査をしても異常が見当たらないことが良くあります。

それらは病気ではなく疲労による症状であることが多いようです。

疲労による症状一例

頭痛
肩こり

歯・歯茎の腫れ・あごの違和感

耳鳴り・めまい

目の疲労・眼の奥の痛み・眼の奥の違和感

副鼻腔の違和感
体がだるい
足のむくみ

筋肉の痛み・疲れ

柔らか整体は、上記の症状に対して姿勢修正アプローチにより症状改善へと導きます。

9疲れを取る方法

緊張がほぐれることで、筋肉が緩み血管や神経への圧迫が解消され、血液や体液の循環が活発になり細胞中の疲労物質といわれる老廃物が流し去られることで回復が促されます。

循環を促進させる方法を紹介します。

適度な運動

過激な運動を行うと交感神経が活性化し、疲労度が高くなります。また、慢性的にストレスを抱えている人にとっては、適度な運動の範囲が非常に狭く、適切な度合いを見極めるのが難しい場合があります。
なぜなら、緊張が高まった状態が続くと筋肉や筋膜が膠着し、体がこわばってしまうことがあります。その場合、自分自身で筋肉を解除することができず、他の動力(他動的)で体を動かしてもらうことで、ストレスを最小化することができます。

良質な睡眠

いくら長い時間寝ても疲れが取れないことがあります。また、睡眠導入剤を服用しても、副交感神経が活性化されなければ十分な睡眠効果は得られません。
ストレスなどによる緊張状態では交感神経が優位になり、リラックスして眠ることができません。緊張を緩めてゆったりと寝ることが、質の高い睡眠をもたらします。

ぬるめのお風呂

入浴は疲れを癒す手軽な方法です。ポイントは、ゆったりとぬるめのお湯に浸かり、リラックスすることです。これにより副交感神経が活性化しやすくなります。
できれば湯船の中で浮力を感じ、身体の力を抜いて浮かぶようにしましょう。

体が刺激を受け入れる優しいマッサージ

律動的で変化に富んだマッサージ刺激は、筋肉や筋膜にアプローチし、交感神経優位の状態に導きます。
この刺激によって心臓の拍動数が増え、血液が送り出されますが、末梢血管は収縮し、血圧が上がることがあります。
マッサージには身体を刺激して代謝を高める効果がありますが、高まった緊張を抑制する効果は弱いと考えられます。
副交感神経優位な状態を作り出すためには、緊張を抑制する刺激が求められます。

柔らか整体

マッサージは交感神経優位になる傾向が強いですが、指圧は副交感神経優位の要素を含んでいます。そのため、柔らか整体では指圧の要素を整体の手技に取り入れ、副交感神経優位な状態を作り出し、その状態で身体の修正を行います。
また、柔らか整体のベースとなる古流柔術は、現代柔道のように「力を入れて相手を崩す」のではなく、「力を抜いて相手を崩す」という技術です。緊張を相手に伝えずに行う技術が基本にあり、この術理に従って身体を捌くことで、余計な緊張を引き起こさずに変化を導く動きを生み出します。



古武術の居合構え
執筆者 荒木淳一
柔道整復師・鍼灸師
古武術の「型」稽古歴26年
型に隠されている力を否定した動作を求めて術を探求する。
余計な力を抜く構えづくりをコンセプトに整体施術を行う。

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