交通事故で後遺症が気になる方は、早期に姿勢の改善と共に体調を整えましょう。事故により姿勢も乱れることがあります。患部の処置と共に体全体の姿勢の乱れを改善して早めの回復を目指しましょう。
そのためにも、患部だけでなく身体全体から姿勢のバランスを調整することで交通事故治療と姿勢の修正を同時に行う事で早期の症状改善が期待できます。
交通事故による頸椎捻挫と姿勢の治療改善例
奈良県大和郡山市20歳代女性
奈良の銀行に勤務されているKさんは、休日にドライブ中、信号待ちで停車していたところ、左側の側道から車が突然車体の左側面に衝突し、強い衝撃を受けました。
事故後すぐに病院を受診し、レントゲンなどの検査を受けた結果、首や左肩の捻挫と診断されました。
その後、症状が徐々に悪化してきたため保険会社に連絡され、勤務先近くである当院での受診を希望。損害保険会社より当院に治療依頼がありました。

事故受傷直後は、首から左肩にかけて筋肉がこわばり、首を回したり左肩を挙げようとすると痛みが走る状態でした。
姿勢をチェックしたところ、首を前方に突き出した「首猫背」の姿勢が見られました。
(左側の立位写真では、首の角度を示す赤いラインが前方に大きく傾斜しています)
ご本人に確認したところ、事故以前から姿勢の悪さを自覚しており、気にされていたとのことでした。そのため、首猫背の姿勢自体は事故によるものではなかったようです。
しかし、首猫背は首と頭の角度が強くなることで、力学的ストレスが加わりやすい形態であるため、症状が強く現れる傾向があります。
施術では、捻挫に対する処置とあわせて、力学的ストレスを軽減するための姿勢修正という二方向からのアプローチを行いました。
治療初期には、首を前方に突き出す姿勢によって頭の位置が下がり、背中が後方へ引かれるような姿勢となっていたため、結果として重心が後方に移動し、踵重心の状態になっていました。
(足底画像では、重心ラインが踵寄りにあり、つま先や足指に体重がほとんどかかっていない様子が見られます)
二ヶ月目頃になると、立位写真中央の赤ラインに示されるように首の角度が徐々に起き上がり、背中もすっきりと伸びた状態へと改善。重心も足底の中央付近へと移動してきました。
(足底画像では、重心ラインが踵寄りから中央に寄っていることが確認できます)
三ヶ月目頃には、首の角度がさらに起き上がり、胸元が広がってスッキリとした印象に。身長が伸びたようにも見える姿勢となりました。
(足底画像では、重心位置が足底の中央に近づき、つま先や足指にも体重がかかっている様子が見られます)
重心が足底中央に位置するということは、首が上方に伸びており、背中を後方に丸める必要がなくなった結果と推測されます。
およそ三ヶ月の施術により、首および左肩の捻挫症状は消失し、同時に首猫背の姿勢も改善されました。
交通事故によるむち打ち症と姿勢の治療改善例
奈良県奈良市30歳代女性

受傷直後、首の後ろから肩にかけて広範囲にわたる痛みと張り感が強く、常に重だるい症状を呈していました。整形外科での診察時、Dr.が肩を不意に押圧したところ、痛みで驚いた反応にDr.もびっくりされたとのことです。
今回、首の症状に加えて左肩から左背中にかけての症状が顕著であることが特徴的です。
交通事故による衝突は真後ろからの衝撃であり、左右差はないと思われますが、実際の症状は左側に強く現れています。
むち打ちによる症状に加え、身体の歪みによる力学的ストレスが左肩から左背中にかけての症状に影響を与えている可能性があります。
姿勢的特徴として、身体の重心が極端に左に寄っていることが、左半身に加わる負荷が症状に繋がっている原因であると考えました。そのため、頚椎捻挫の処置に加え、力学的ストレスを軽減することを目的とした姿勢修正のWアプローチを実施しました。
結果として、3ヶ月半で症状の軽減と姿勢の改善が認められました。

姿勢の特徴経過
初期において重心が左側に寄り、左脚に60%以上右脚に40%以下の加重負荷となっている。
この時の姿勢的特徴は、左半身の筋緊張が相対的に強く、左側に身体を引き寄せられる状態です。
したがって左側の緊張が高くなるので左肩が下に引っ張られ下がる傾向が強くなり、左腰が前方に引き出される姿勢となります。
この姿勢で前屈を行うと左半身が前方に引き出され上体が右に傾斜した状態での前屈となります。後方からの画像では角度が深くなるにしたがい腰部が左に移行し上体が右に倒れます、その結果後方からの画像に右腕は映りますが左腕は身体の影になり映らなくなります。
中期になり左脚加重が60%を割り込み59%~53%、右脚加重41%~47%で推移する。
左半身特に股関節周辺の筋緊張が高い為に上体が左に引き寄せられていたが、筋緊張の低下に伴い重心が右側に移行する傾向となる。
腰部の左への移行が少なくなり、上体が右に傾斜する傾向も弱くなる。
後期になると体重加重は左脚56%~53%、右脚加重44%~47%で推移し、加重の左右差が僅かになる。
左股関節周辺の筋緊張が軽減し、左への引き込みが弱くなり、前屈時には腰部が左に移行することがなくなってくる。
その結果、前屈時に右への傾斜が無くなり自然な形での前屈姿勢となる。