本症例は、パニック障害をきっかけに長期にわたり不定愁訴と戦ってこられましたが、今回症状の改善が見られたので記事にしました。

執筆者 荒木淳一
柔道整復師・鍼灸師
古武術の「型」稽古歴26年
型に隠されている力を否定した動作を求めて「柔」の術を探求する。
力を抜く構えづくりをコンセプトに整体施術を行う。
Contents
ご本人の状況
来院までの経緯
最初の不調は中学3年生頃で、ヒステリー球からのパニック発作を何度か起こして、その後パニック障害になり、3年程家にいました。
病院にもちゃんと行けず、漢方の半夏厚朴湯を飲みながら休んでいました。その頃からとにかく肩甲骨の凝りが酷く、定期的に整体に通っていて、整体に行った日は喉の詰まりが楽になりました。
その後は少しずつ良くなり、大学へ進学し、喉の詰まりはあるものの、パニック発作はほぼなくなりました。
ただコロナ禍になり、急に扁桃炎に頻繁にかかるようになりました。最初は1年に7回ほど扁桃炎になっていたと思います。(今は年に2回ほどになりました)
大学卒業後は就職し3年ほど働いていましたが、適応障害になり、休職を経て退職し、現在に至ります。
適応障害と診断された半年ほど前から強いストレスを感じることがあり、体の不調が3つほどでてきました。
1つ目は右の肩甲骨の下辺りの違和感です。
最初は触られているような感覚だったのがだんだん激痛や熱さやしびれを感じるようになり、神経科や内科、整形外科、甲状腺なども診察をしてもらいましたが、なにも異常はありませんでした。
この背中の違和感や痛みは、マシにはなったものの現在も続いています。
2つめは、背中の違和感を感じる前から、全身の痛みが気になっていました。よく扁桃炎になって節々が痛くなるのであまり気にしていなかったのでが、休職中にリウマチ科の病院にかかった所、軽度の線維筋痛症の疑いがあると診断されました。強めの痛み止めを飲んでほんの少しだけマシになりましたが、まだ痛むときがあります。
(現在はこちらの薬は飲んでません)
3つめは、生理前の不調や生理不順です。
扁桃炎によくなるようになってから、PMSの症状が酷くなり、気分の落ち込みや熱っぽさが気になるようになりました。仕事で強いストレスを感じるようになってからは、生理不順になりました。
休職中から産婦人科にかかるようになり、現在は加味逍遥散を飲みながら様子を見ています。(漢方を飲み始めて少しずつ良くなっています)
仕事をしているときはいつもヘトヘトで、体に不調があっても病院に行く元気がなかったのですが、休職してから病院に通えるようになりました。
また、適応障害と診断されてからは、抗不安薬と睡眠導入剤を服用しながら様子を見ていましたが、あまり体調が変わらなかったので、
半年ほど前から抗不安薬を辞めて抗うつ剤に切り替わりました。
現在安定しており、断薬に向けて様子見をしています。
また、1つ目の背中の違和感に付随して、その頃から背中をかばうようになったからなのか、体の歪みを感じています。
その影響なのか、1年前に一度ギックリ腰になり、先月もまたなりました。
ここ最近はずっと右の腰あたりが痛く、首や肩、頭も痛くなることが多いです。
また、台風の時期に体調が悪くなる事が多いです。
◎荒木整骨院に来るきっかけ
引っ越しをきっかけに新しく通える整骨院を探していて、ホームページの内容が自分の悩みと重なり来院しました。
◎施術を受ける前の症状や悩み
右の背中(肩甲骨あたり)のしびれや痛み、右腰の痛み、右足首の動かしづらさがありました。
昔から首や背中のコリや喉のつまり、慢性的な疲労感にも悩んでいました。
◎実際施術を受けてどう感じたか
姿勢を計測してもらうことで、身体の歪みを客観的に見られて分かりやすかったです。
想像以上に歪んでいて驚きましたが、毎回の測定で少しずつ改善しているのが見えるのが嬉しいです。
◎通院することでの変化
疲れにくくなり、外出する回数が増えました。
また、自分の身体の癖や姿勢に気づけるようになりました。
◎他の整体・治療との違い・印象に残ったこと
これまでは施術直後だけ楽になることが多かったのですが、ここでは「日常の姿勢を観察してみて」と教えてもらい、普段から意識できるようになりました。
そのおかげで施術日以外も体調が安定しています。
また、「歪んだ姿勢を保つために体力を使っている。だから体力はあるんだよ」という先生の言葉が印象に残っています。
施術内容
「鍼灸X柔らか整体xスーパーライザーEX」が三位一体となった施術。
鍼灸では、針や灸を使用せず手技にて「気」の通り道を整える「経絡治療」を行います。
柔らか整体では、構造的ストレスの軽減を行います。
スーパーライザーEXでは、経絡で最も弱っているところに対して近赤外線照射を行います。
初見時の状態
経絡の特徴から

身体の側方を通る「胆経」付近の右側の陰影が薄い
背部から肩部にかけての「小腸経」付近の陰影が濃い
姿勢の特徴から

上半身が右側に傾く傾向(右足荷重54%)
背中が後方に傾く傾向(左右かかと荷重60%〜62%)
上半身と下半身がねじれる傾向(上方画像E)
三次元空間の3つの軸上全てにおいて歪みが現れ、構造的ストレスが高いと考えられる。
自律神経の特徴から

脈拍変動(HRV)から算出された自律神経の活性度は、交感神経、副交感神経ともに平均値を大きく下回る。
また、肉体的疲労度を示す自律神経活動量も低いため疲労度がかなり高い状態。
施術6回目
経絡の特徴

身体の側方を通る「胆経」の右側陰影はやや強く現れるも他の部分に比べて薄く映る。
背部から肩部にかけての「小腸経」は目立たなくなる。
姿勢の特徴

上半身が右側に傾く傾向 ⇨ 改善(左足荷重51%右足荷重49%)
背中が後方に傾く傾向(左右かかと荷重62%〜64%) ⇨ 変化なし
上半身と下半身がねじれる傾向 ⇨ 改善傾向
自律神経の特徴

脈拍変動(HRV)から算出された自律神経の活性度は、副交感神経が平均値の範囲に入るも交感神経の活動は低い。
また、肉体的疲労度を示す自律神経活動量も低いため疲労度はやや高い状態。


